歌詞和訳 〜キラクにキママにマジメにホンヤク〜

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【歌詞和訳】Take Me Back - HAIM

テイク・ミー・バック  〜 未来のために過去と向き合う 〜

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ザ・トラック・オブ・ザ・デイ

  • 曲名: Take Me Back (テイク・ミー・バック)
  • バンド名: HAIM (ハイム)
  • 収録アルバム: I quit (アイ・クイット)  *Track 5
  • シングルリリース日:2025年5月30日
  • プロデュース: Rostam & Danielle Haim
  • ソングライター: Este Haim, Danielle Haim, Alana Haim, Tobias Jesso Jr. & Rostam

 

この曲[Take Me Back (テイク・ミー・バック)]は2025年6月20日に5年ぶり4作目となるアルバム[I quit]からの4枚目の先行シングルとして2025年5月30日にリリースされました。

アルバムからのシングル曲のジャケットがセレブのパパラッチ写真をオマージュして話題となっていますが、この[Take Me Back]ではジェイミー・ドーナンとデートするキーラ・ナイトレイのきわどい腰パン姿です。
ネット検索すると元ネタ写真が見れので興味のある方は是非どうぞ。


アルバムの中で軽快なギターと重厚な低音が交差しつつ疾走感のあるサウンドが特徴です。
プライベートな出来事が羅列されているような歌詞は和訳し初めの時は何を歌っているのだろう、と感じましたがじっくり見ると懐かしい思い出を歌ってるんだなと感じることが出来ました。


なお、英詞は"genius.com"から引用し、Official Lyric Video から補足しています。

和訳後の感想や曲のエピソードは歌詞の下に記載しています。

 


HAIM - Take me back (Official Lyric Video)

 

 

 

アーティスト・ミニバイオ

ハイム (HAIM)は、アメリカはカルフォルニア州ロサンゼルス出身のオルタナ・ポップ・ロックバンドです。

メンバーは、長女のエスティ(ベース)、次女のダニエル(ギター)、三女のアラナ(ギター,キーボード)のヘイム3姉妹です。


音楽好きの両親の元で、少女時代には家族でバンドを組んで地元でのチャリティコンサート等でも活動し、その頃から音楽を演奏するのが当たり前のようにバンドを組んだり、姉妹中心に活動していました。

2012年にデビューEPを発表し話題となり、2013年の1stアルバム[Days Are Gone]でUKチャート1位を獲得し、以降も2nd [Something to Tell You(2017)], 3rd [Women in Music Pt. III(2020)]とアルバムをリリース。
ロックミュージックがチャートに入ることが多くなったイギリスで大ヒットしデビュー・アルバムから3作連続ナンバーNo.1 またはNo.2を記録しています。


私はサードアルバム[Women in 〜]でHAIMを知りましたが、古き良きアメリカン・ポップ・ミュージックの陽性なサウンドを今風に昇華し、軽やかで爽やかなクリーンなサウンドが好きです。

そしてリード・ヴォーカルのダニエルの声が綺麗で癖がないながらも芯のしっかりした声で、サウンドにマッチし心地良いです。

素で飾らず聴き心地が良くても歌詞には辛辣にアイロニックや繊細さが込められており毒を含んでいるところや、カリフォルニアの生意気だけどおしゃれな綺麗なお姉さんキャラがこのバンドの魅力です。

また三姉妹の音楽への愛に満ちあふれているところが、アルバム全体を通して感じられ、一聴するとサラッと聴き流してしまいそうですが、じっくり聴くと歌詞も音楽も一筋縄ではいかず聴きごたえがあるのがブレイクしている要因だと思います。


グラミー賞でも2015年に「最優秀新人賞」、サードアルバム[Women in 〜]をリリース後の2022年に「年間最優秀アルバム」にノミネートされ、メディアの評価も上々です。


そして2025年6月20日に5年ぶり4作目となる[I quit]がリリースされ、先行シングル[Relationships]や[Down to be wrong]を含む全15曲が収録されています。

 

今作は次女ダニエルと元ヴァンパイア・ウィークエンドのロスタム・バトマングリを中心にプロデュースされ、三姉妹それぞれの恋愛や失恋から学んだ「自分で選んだ自由」をテーマにしています。

 

ヨーロッパ(特にイギリス)やアメリカではすでにヘッドライナー級の人気となったハイムですが、最新アルバムもリリースされた2025年には11年ぶりの来日公演となるフジロックへの出演も決定し、これを機に日本でもさらに知名度が上がることが期待されます。

 

 

歌詞/和訳

Title : Take Me Back


[Verse 1]
Kane called up *1 'cause I wasn’t home
Daddy took a message, didn't have a phone
Waiting out *2 front just to get alone

But now I'm laughing

私が家にいなかったからケインが電話をかけてきた
パパが伝言を受けたけど、私は携帯を持ってなかった
一人になりたくて外にいたんだ
今は笑い話だけど

Alana lost her head when she had a crush *3

Billy St. Reams didn’t wanna fuck
Bad GPA, couldn't get it up
And I remember it

アラナは気が狂うくらいの片思い
ビリー・セント・リームズはエッチする気になれなかった
悪い成績を取ってしまいその気になれなかったんだ
私は覚えているよ

(Take me back, take me back)
Molly took a shit in the back of the truck
Didn't even notice, she was too coked up *4

Wants to be a dancer, but she had no luck
And more time's passing
(Take me back, take me back)

(連れ戻して、あの頃に戻して)
モリーはトラックの荷台でお漏らしした
コカインでハイになりすぎて気づかなかった
ダンサーになりたかったけど、うまくいかなかった
そして時が経っていった
(連れ戻して、あの頃に戻して)


[Chorus]
(Take me back) I want it
(Take me back) Like I remember
(Take me back) Just thinking about it
(Take me back) Makes me emotional
(Take me back) I want it
(Take me back) Like I remember
(Take me back) Just thinking about it
(Take me back) Makes me emotional

(連れ戻して) そうなって欲しい
(連れ戻して) 私の思い出の場所に
(連れ戻して) 考えるだけで
(連れ戻して) 想いがこみ上げてくる
(連れ戻して) そうならないかな
(連れ戻して) 私の思い出の場所に
(連れ戻して) 考えるだけで
(連れ戻して) 胸が締め付けられるんだ


[Post-Chorus]
All of my friends I loved, I still love
And all my lovers are locked in time
I can't pretend I got where I got
Without changing in my mind
And it keeps on running

愛した友はみんな、今も愛している
そして恋人たちを時間の中に閉じ込める
心を変えずに
ここまで来たなんて考えられない
そしてそれはずっと続いていく


[Verse 2]
Pulling out *5 the petals *6, "Does he love me or not?"

David only wants to do what David wants
Had a bald spot, now it's a parking lot
And I was there for it

花びらを摘み取みながら「彼は私を愛してるの、愛してないの?」
デイヴィッドは自分の好きなことだけやってた
禿げてた場所が今や駐車場みたいに広がってる
そして私はそこにいたんだ

In and out of love *7 since I was nineteen
Made a few mistakes, now I'm coming clean *8
Yeah, I fucked it up, but I took the heat *9

And I learned from it

19歳の頃から失恋を繰り返してきた
失敗もしたけど、今、白状するよ
めちゃくちゃやったけど、その責任はとったんだ
そしてそこから学んでもきた


[Chorus]
(Take me back) I feel it
(Take me back) Like a reverie *10

(Take me back) Just thinking about it
(Take me back) Puts you in front of me
(Take me back) I feel it
(Take me back) Like a memory
(Take me back) Just thinking about it
(Take me back) Brings us back to me

(連れ戻して) 感じるんだ
(連れ戻して) 夢のように
(連れ戻して) 考えるだけで
(連れ戻して) 君が目の前に現れるよう
(連れ戻して) 感じるんだ
(連れ戻して) 記憶のままに
(連れ戻して) 考えてだけで
(連れ戻して) 私達をそこに戻してくれる


[Bridge]
Take me back to driving
Smoking with the windows down
Trying to waste the day away
I never get to do that now
Take me back to Kling Street
Looking for a place to park
In an empty parking lot
Just so you could feel me up


窓を開けたままタバコを吸いながら
運転していた頃に戻して
一日を無駄に過ごしていた日々
今はそんなことはできない
クリング・ストリートに戻して
誰もいない駐車場の
車を停める場所を探してた
あなたが私を感じられるように

Take me back to ditching *11
Take me back to getting off *12

Take me back to wishing
That nothing would be different
Take me back, take me back
Take me back, take me back
Take me back, take me back

サボっていた頃に戻して
夢中でいた頃に戻して
何も変わらないでほしいと
願っていた頃に戻して
連れ戻して、あの頃に戻して
連れ戻して、あの頃に戻して


[Chorus]
(Take me back) I feel it
(Take me back) Like a reverie
(Take me back) Just thinking about it
(Take me back) Puts you in front of me
(Take me back) I'm riding
(Take me back) Down my old street
(Take me back) Just thinking about it
(Take me back) Brings us back to me

(連れ戻して) 感じるんだ
(連れ戻して) 夢のように
(連れ戻して) 考えるだけで
(連れ戻して) 君が目の前に現れるよう
(連れ戻して) ドライブしてる
(連れ戻して) 懐かしい街を
(連れ戻して) 考えてだけで
(連れ戻して) 私達をそこに戻してくれる

 

 

トラック・インプレッション

HAIMの[Take Me Back]は、若い頃の過去の恋愛等の輝きと苦かったり恥ずかしい体験を振り返り、「何も変わってほしくなかったあの頃」に戻りたいという思いが歌われています。

19歳の時から恋愛と失恋を繰り返してきたこと、失敗も多かったが正直に向き合い、責任も取ってきたこと、そして変化や失敗を経て成長した自分を肯定する気持ちが歌われ、前向きにあの頃の無鉄砲で若い気持ちや友達との関係性を懐かしむという複雑な心情を感じます。


変化や失敗を経験して大人になった今だからこそ、失敗や変化を受け入れ、今の自分があるということなのでしょう。

 

昔に戻るなんて無理だと分かっていながらも、あの頃の純粋な気持ちや仲間たちに感謝したい、そんな感情も見え隠れします。

聴く人が自分自身の思い出と重ねることができ、心が昔に引き戻されるようなタイムマシンに乗ったような気分にもなれたりします。


アルバム[I Quit]のテーマである「自分で選んだ自由」や「恋愛・失恋からの学び」ともリンクし、サウンドも甘酸っぱいメロディとほんのりしたレトロ感、そして新しさが同居しており、疾走感も満点な一曲です。

 

収録アルバム

紹介した曲は↓のアルバムに収録されています。
リリース直後のメディアの評価は、Metacriticでは80/100、NMEやローリングストーン誌では、4/5(★(星)評価)と上々で、イギリスでは最高3位を記録し4作連続ベスト3入りです。

 

今作は比較的陽性な曲やメロディの良い聴きやすい曲が詰め込まれてますが、オルタナ感のちょっと強めな3rdアルバムも必聴です。

 

HAIM(ハイム)の歌詞和訳

今回の曲以外にもHAIM(ハイム)の曲の歌詞和訳をしています。
良かったら見てください。

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*3:have a crush    (誰かのことを)好きになる、片思いをするという意味のスラング

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*7:in and out of love    恋に落ちたり、冷めたりするという意味

*8:come clean        白状する、正直に言う、全てを打ち明ける <by 英辞郎>

*9:take the heat    〔激しい〕非難[批判]に耐える[を受ける] <by 英辞郎>

*10:reverie        〔楽しいことの〕空想、夢想 <by 英辞郎>

*11:ditching        捨てること、取り除くこと <by 英辞郎>

*12:get off        スラングとして「楽しむ」「夢中になる」「興奮する」という意味で使われる <by 英辞郎>