歌詞和訳 〜キラクにキママにマジメにホンヤク〜

洋楽ときどき邦楽。好きな歌の和訳に歌の解説とエピソードを。思い出も添えて。

歌詞和訳:Houdini - Eminem

今日はEminem(エミネム) Houdini(フーディニ)です。


フーディニとは脱出王の異名のあるアメリカに実在した奇術師です。

日本で脱出王というと引田天功(というか2代目のプリンセス・テンコーの方が有名?)ですが、フーディニはその元祖です。
最近デュア・リパもフーディニを扱った歌をリリースしましたが、海外では派手なマジシャンの代名詞として本当に有名なようです。

 

歌詞を気にしなければ「お気楽でノリの良い」曲です。
はたしてどんな歌詞の曲でしょう。

 

歌詞と和訳だけ見たい方は下の目次の「歌詞/和訳」クリックしてください。

 

Eminem - Houdini

 

ザ・トラック・オブ・ザ・デイ

  • トラック名: Houdini(フーディニ)
  • アーティスト名: Eminem(エミネム)
  • 収録アルバム: The Death of Slim Shady (Coup De Grâce)   *Track 11
  • アルバムリリース日:2024年7月12日

Eminem - Houdini (Official Music Video)

 

minem(エミネム)は、アメリカはミズーリ出身のラッパーです。

今日は2024年7月12日にリリースされた12枚目のオリジナル・アルバム「The Death of Slim Shady (Coup De Grâce) (デス・オブ・スリム・シェイディ (クープ・デ・グレイス))」から、11曲目の[Houdini]です。
Billboard Hot 100チャートの2位を記録しました。
アルバムもBillboard Top 200で首位となり、エミネムにとって10作連続のナンバー・ワン・アルバムになりました。

 

ヒップホップは話題になってるアーティスト・作品中心にたまに聴くのですが、エミネムは何だかんだ5作目の「リプラス」からずっと聴き続けているラッパーです。


このブログを始めて最初のエミネムリリース作品ということもあり、初めてのヒップホップ・ソングです。

 

元ネタはスティーヴ・ミラー・バンドの[Abracadabra]。
こちらは1982年にBillboard Hot 100チャートのナンバー・ワンになった大ヒット曲です。
日本ではスティーヴ・ミラー・バンドはロック・ポップス通にしか知られていない印象で、あまり振り返られることが少ないですよね。
大ヒットした曲にも関わらず、何となくサビのフレーズを知っているくらいで初めて聴きました。この曲で知名度が上がってくるのでしょう。


通してちょっと聴いてみましたがファンキーというよりも呪術的な反面、ポップでクセるなる曲です。

そんなフーディニを題材に、昔からの洋楽ロック・ポップス通をもうならせつつラップしまくるエミネムの曲を聴いてます。
なお英詞は"genius.com"から引用し、Apple Musicから補足しています。

 

歌詞/和訳

Title : Houdini
Producer : Luis Resto & Eminem
Writer :  Eminem, Jeff Bass, DJ Head, Steve Miller, Malcolm McLaren, Trevor Horn, Anne Dudley, Kevin Bell & Luis Resto


[Skit: Paul Rosenberg]
Hey, Em, it's Paul
Uh, I was listening to the album
Good fucking luck, you're on your own

ヘイ、ポールだよ
アルバムを聴いてたんだ
幸運を祈るよ、お前のやり方でやってくれ


[Intro: Eminem]
Guess who's back, back again
Shady's back, tell a friend
Guess who's back, guess who's back
Guess who's back, guess who's back
Guess who's back, guess who's back
Guess who's back
(Da-da-da, da, da, da, da, da, da)
(Da-da-da, da, da, da, da)

誰が戻ってきたと思う? 
シェイディが帰ってきたって伝えてくれ
誰が帰ってきたかって当ててみな
誰が帰ってきたかって
誰が帰ってきたかって
(ダダダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ)
(ダダダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ)


[Verse 1: Eminem]
Well, look what the stork brung (What?)
Little baby devil with the forked tongue
And it's stickin' out, yeah, like a sore thumb (Bleah) *1
With a forehead that it grew horns from*2
Still a white jerk
Pullin' up in a Chrysler to the cypher with the vic's, percs and a Bud Light shirt*3

Lyrical technician, an electrician y'all light work
And I don't gotta play pretend, it's you I make believe
<脚注:make believe ~のふりをする、~のように見せかける <by 英辞郎>>
And you know I'm here to stay 'cause me
If I was to ever take a leave, It would be aspirin to break a feve*4

If I was to ask for Megan Thee Stallion if she would collab with me
Would I really have a shot at a feat?
I don't know, but I'm glad to be back, like

赤ん坊が生まれたかって
フォークみたいに二股の舌の悪魔の赤ん坊
酷いありさまだ(あかんべーっだ)
額に角も生えてるな
白人の嫌な奴だ
クライスラーに乗りサイファーに乗り込んでくる、、犯罪者の獲物で、鎮痛剤(麻薬)をやって、バドライトのシャツを着てね
抒情的なテクニシャン、電気技師だ、楽にやってのけよう
俺はフリはしない、お前がやっていると見せかける
俺はここに居続けるよ
俺が休暇を取るとしたら、そいつは解熱剤だろう
俺がメーガン・ジー・スタリオンにコラボを頼んだら
足元を狙ったりするのかな? (ハッ!)
分からないけど、戻って来られて嬉しいよ


[Chorus: Eminem]
Abra-abracadabra*5

(And for my last trick) I'm 'bout to reach in my bag, bruh
Abra-abracadabra
(And for my last trick, poof) Just like that and I'm back, bruh

アブラ-アブラカダブラ
(最後のペテンだ) 俺のバッグに手を伸ばすところだ
アブラアブラカダブラ
(最後の策略だ、パッ!) あっという間に戻ってきたよ、ブラザー


[Verse 2: Eminem]
Now back in the days of old me
(When) Right around the time I became a dope fiend*6
Ate some codeine, as a way of coping taste of opiates, case of O.E
​Turned me into smiley face emoji
My shit may not be age appropriate 
but I will hit an eight year old in the face with a participation trophy*7

'Cause I have zero doubts
That this whole world's 'bout to turn into some girl scouts
That censorship bureau's out to shut me down
so when I started this verse it did start off light-hearted at first
But it feels like I'm targeted
Mind bogglin' how my profit has skyrocketed, look what I pocketed
Yeah, the shit is just like y'all have been light joggin' and I've been running at full speed
And that's why I'm ahead like my noggin, and I'm the fight y'all get in
When you debate who the best but ops I'm white-chalkin' when
I step up to that mic, cock it then
"Oh my god, it's him... not again!"

昔の俺に戻って
ちょうど麻薬中毒者になった頃
麻薬を吸うように鎮咳薬を飲んだ、O.E のケース
俺を絵文字の笑い顔に変えた
年相応じゃないかもって言うのは俺の戯言
参加賞のトロフィーで8歳の子の顔を打ちのめしてやるよ
この世界全体がガールスカウトにかわっちまうことに疑いはないから
検閲局が俺を黙らせるために締め出す
このヴァースを始めたとき、最初は軽い気持ちで始めた
でも、狙われているように感じる
俺の利益が急上昇したなんて度肝を抜かれた、俺がポケットに入れたものを見ろ
みんながスロージョグしているのに、私は全速力で走っているようだ
だから俺は頭が真っ白になって、みんなが戦う相手は俺だ
誰が一番か議論するとき、私はマイクの前に立ち構える
「オーマイゴッド、また奴か...」


[Chorus: Eminem]
Abra-abracadabra
(And for my last trick) I'm 'bout to reach in my bag, bruh
Abra-abracadabra
(And for my last trick, poof) Just like that and I'm back, bruh

アブラ-アブラカダブラ
(最後のペテンだ) 俺のバッグに手を伸ばすところだ
アブラアブラカダブラ
(最後の策略だ、パッ!) あっという間に戻ってきたよ、ブラザー

[Bridge: Eminem]
Sometimes I wonder what the old me'd say
(If what?) If he could see the way shit is today
(Look at this shit, man) He'd probably say that everything is gay
(Like happy!) What's my name, what's my name?

昔の俺なら何て言うか時々考えるんだ
(もし何て?) もし今のクソみたいな状況を知ったら
(このクソな状況をみてみろ) アホだって言うだろう
(ハッピーだよ!) 俺の名前は何だっけ、俺の名前は何ていったけ?


[Verse 3: Eminem]
So, how many little kids still wanna act like me?
I'm a bigger prick than cacti be
And that's why these words sting, just like you were being attacked by bees
In the coupe leaning back my seat
Bumpin' R. Kelly's favorite group, the black guy pee's
In my Air Max 90's
White T's walkin' parental advisory
My transgender cat's Siamese
Identifies as black, but acts Chinese
Like a motherfuckin' hacky sack I treat the whole world, 'cause I got it at my feet
How can I explain to you?
That even myself, I'm a danger too
I hop on tracks like a kangaroo
And say a few things or two to anger you
But fuck that, if I think that shit, I'ma say that shit
Cancel me what? Okay, that's it, go ahead, Paul, quit
Snake-ass prick, you male crossdresser, fake-ass bitch
And I'll probably get shit for that
(Watch) But you can all suck my dick, in fact
Fuck them, fuck Dre, fuck Jimmy, fuck me, fuck you, fuck my own kids they're brats (Fuck 'em)
They can screw-off, them and you all
You too, Paul, got two balls, big as RuPaul's, what you thought you saw ain't what you saw
'Cause you're never gon' see me
Caught sleepin' and see the kidnappin' never did happen
Like Sherri Papini, Harry Houdini, I vanish into the thin air as I'm leaving, like

まだ俺みたいに振舞いたがるガキがどれくらいいるんだ?
俺はサボテンよりもでかくてトンがった奴
だからこの言葉は刺さるんだ、蜂にでも襲われているようだろ
クーペに乗ってシートを後ろに倒しながら
R・ケリーのお気に入りのグループにぶつかって、黒人野郎がおしっこしてる
俺のエアマックス90年代
白い無地のTシャツで歩くペレンタル・アドバイザリー(親への勧告 露骨な内容)だ
俺のトランスジェンダー猫はシャム猫
黒人だと自認してるけど中国人みたいな振舞いだ
クソったれの安っぽい袋みたいに俺は世界中を扱ってる、だって俺はそれを足元に持ってるから
どう説明すればいいんだ?
俺自身も危険だってこと
俺はカンガルーみたいに飛び回る
そしてお前を怒らせるために2つ3つ話す
でもそんなのはどうでもいい、そんなクソみたいなことを考えたら、そういうクソみたいなことを言っちまう
俺の何をキャンセルするって?それでいい、さあ、ポール、やめろ
このクソ野郎、この男装野郎、偽物のビッチ
俺はそのことでおそらく酷い目に遭うだろう
(見ろ) クソッタレ!
お前らクソッタレ、ドレーはクソッタレ、ジミーもクソッタレ、俺もどうしようもない、お前もふざけんな、俺のガキもどうしようもない、奴らもクソだ(奴らをやっちまえ)
奴らもお前らもみんなやっちまえ
お前もだ、ポール、玉二つあるんだろ、ルポールみたいにデカい、お前が見たと思ったのはお前が見たものとは違う
お前は私に会えないから
眠っちまった、誘拐は起きなかったんだな
シェリー・パピーニやハリー・フーディーニみたいに、私はパッと空中に消えちまう


[Chorus: Eminem]
Abra-abracadabra
(And for my last trick) I'm 'bout to reach in my bag, bruh
Abra-abracadabra
(And for my last trick, poof) Just like that and I'm back, bruh

アブラ-アブラカダブラ
(最後のペテンだ) 俺のバッグに手を伸ばすところだ
アブラアブラカダブラ
(最後の策略だ、パッ!) あっという間に戻ってきたよ、ブラザー

 

トラック・インプレッション

ラップの歌詞は韻の踏み方が重視されるので日本語に訳すとアーティストの意図が伝わりずらいジャンルだと思っており、和訳に抵抗があったのですが、どんなことをラップしているのかおおよそでも理解したいとチャレンジしてみました。

でもやはりヒップホップはネイティブにでもない限り、ノリを楽しむのが一番だと今回訳して痛感しました。

 

そしてさすがに時間かかりましたね ( ;ㅿ; )
通常、このブログでは1投稿に1曲2時間位かかるのですが今回は和訳だけで6時間位はかかったと思います。

この曲は[The Eminem Show]に入っていた[Without Me]でのリリック[guess who’s back? Back Again ・・・]を使って今回は小気味よく高速ラップを聴かせてくれます。

それでも和訳してみると韻の踏みまくりとフーディニだけに手品ネタをちょいちょい挟みながらのリリックと、ミーガン・ジー・スタリオンを始めとした有名人へのディスりまくりとおちょくり具合が上手いし容赦ないです。

50歳を過ぎたエミネム(というか今回は彼の第二人格スリム・シェイディが乗り移ったラップか)ですが、熱く鬼気迫るというのとは違うちょい軽なラップと、元ネタをぐっとファンキーにしたノリが良いですね。

そしてサード・ヴァースは4レター・ワードのオンパレード。
ここは日本語に訳していると思わず馬鹿馬鹿しくなってきてしまいます。
それでもこのラインはR&B界の大スターRケリーや恩師のDr.ドレーまで引き合いに出してエミネム自身も彼の子供達も引き摺り出しディスりまくる始末。自暴自棄っぽい印象を受けるけどやはり計算してのこのヴァースです。

 

そんな具合にこの曲は力強くというよりもリラックスした流れるような、だけどしっかりストーリーを持ったラップですが相変わらずのぶっちゃけ感が楽しい仕上がりになっています。

 

そしてこうして言いたいこと言いまくってかっこよくラップを決めるというのがアメリカでうけるラッパーの条件だということを実感しました。
特にエミネムは四半世紀を通してセールスも人気者も第一線の人気ラッパーです。
MVはちょっととぼけたイケオジ感が醸し出されてこれもよい味です。


ではまた。

 

 

 

 

*1:stick out like a sore thumb 〔周囲の物・人々と異なり(悪い状態で)〕ひどく目立つ、場違いである

*2:forehead 額、前額部、前面、前部

*3:percs ヒップホップカルチャーでは、複数のラッパーが円になって即興のラップを行う場を指すこともある。

*4:take a leave 休暇を取る

*5:abracadabra 魔法をかける[奇術を行なう]時などに唱える呪文、》わけのわからない言葉,ちんぷんかんぷん <by weblio>

*6:dope fiend [スラングで]麻薬常用者 <by 英辞郎>

*7:participation trophy 参加トロフィー