ヤング - リトル・シムズ 〜 若さは無敵、完璧なんて最悪 〜
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ザ・トラック・オブ・ザ・デイ
- 曲名: Young (ヤング)
- アーティスト名: Little Simz (リトル・シムズ)
- 収録アルバム: Lotus (ロータス) *Track 3
- アルバムリリース日:2025年6月6日
- プロデュース: Miles Clinton James
- ソングライター: Little Simz & Miles Clinton James
この曲[Young (ヤング)]は2025年6月6日ににリリースされたLittle Simz(リトル・シムズ)の6枚目のオリジナル・アルバム[Lotus (ロータス)]からの3枚目の先行シングルとして2025年3月14日にリリースされ、アルバムには3曲目に収録されてます。
長年、シムズの楽曲を手掛けてきたプロデューサー インフローがシムズへの借金が返済されない金銭トラブルがあったころから決別し、シムズは制作意欲や精神状態まで支障をきたし、ミュージシャンとしての活動を断念することまで考え自信を失ったようです。
そしてこのアルバム[Lotus]はマイルス・ジェイムス・クリントンをプロデューサーに迎えて制作されました。
マイルスや制作チームのプレイヤーとはスタジオに入ってすぐにシムズが自身の不安や自信喪失について率直に告白するところから始まり、マイケル達と信頼できる強力的なパートナーシップを築いていったようです。
マイルスはアルバムの全曲で作曲・プロデュース・録音を担当し、ほとんどの楽器演奏を行い、ジャズファンクやエレクトロニックな要素を取り入れながらも今までのシムズのファンに違和感を感じさせないながらも独自のサウンドを作り上げてます。
アルバムタイトルの"Lotus (ロータス)"は花の"蓮(ハス)"を意味し、"非執着"や客観的に物事を考えることの象徴であり、花言葉は"休養","神聖","雄弁","沈着"です。
また、泥の中から美しい花を咲かせるように、困難な状況でも自分自身を変化させ、成長できるというメッセージが込められています。
葛藤や個人的な裏切りを経た後の今作は彼女自身の内面と向き合い、裏切りの痛み、怒り、恐怖、悲しみ、希望、そして再生を織り交ぜながら、自身のルーツを意識して再び立ち上がる過程を描いたアルバムになっており、パーソナルで誠実な内容の歌詞が多くなってます。
そしてこの曲[Young]のミュージックビデオ(MV)は、多数の人気アーティストの名曲のMVを監督してきた巨匠デイヴ・マイヤーズが監督しています。
曲も映像もスタイリッシュでカッコ良かった前作[No Thank You]に収録されている[Gorilla]も監督しており、シムズ自身も「キャラクターに入り込むことができてとても楽しかった」と語っています。
今回のMVはシムズが英国版いじわるばあさん(古い!)になったような風変わりでパンキッシュなおばさんになりきり、近所でいたずらを繰り返すというちょっとしたストーリー仕立てになっています。
なお英詞は"genius.com"から引用し、Apple Musicから補足しています。
Little Simz - Young (Official Music Video)
歌詞/和訳
Title : Young
[Intro]
Ahem
Yep
Mic testing, one-two, one-two, okay, mm-mm (Yeah, take your time, here we go)
エヘン(咳払い)
行くよ
マイクテスト、ワンツー、ワンツー、オーケー(急がないでいいよ、さあやろう)
[Verse 1]
Who's that creepin’ in my window? (Who?)
I get a hot flash whenever the wind blows (Swish)
Nothing to my name now and everybody knows (Yeah)
When I'm in need of cash, I go down to the bingo (Bingo)
窓に忍び寄ってるのは誰?(誰?)
風が吹くたびに体が火照る(ヒュッ)
私に何もないのは周知の事実(イェー)
お金が必要になったらビンゴゲームに行く(大当たり)
Last night, I asked Jenny for a quid *1 (Please)
This is the fifth time I'm used to taking the piss (I am)
A bottle of Rio and some chicken and chips
In my fuck-me-up pumps and my Winehouse quiff (We love you, Amy)
昨夜、ジェニーに1ポンドおねだりした(お願い)
もう5回目、すっかり慣れてしまった(そうさ)
リオのボトルとチキン・アンド・チップス
ヒールが高く派手色の靴を履き、ワインハウス流のヘアースタイル(愛してるよ、エイミー)
Who’s that knocking at the front door? (It's the mailman)
Bills, bills, please no more (No more)
I'm twenty-something young with my priorities straight *2 (Yeah)
I need to buy a booze *3 and I need to buy a draw *4 (I do)
玄関のドアをノックしているのは誰? (郵便配達員だ)
請求書、請求書、もうやめて(もうやめて)
私は20代の若者で、優先順位はわきまえてる(そう)
お酒もドラッグも買いに行くことだけどね(そう)
This summer, I'm going out every night (Yeah)
Anyone can get it, I ain't scared of a fight (What you looking at?)
You can be down or be on the other side (True)
But this is my idea of the perfect life (Alright)
この夏、毎晩出かける(イェー)
誰でもかまわない、喧嘩なんて怖くない(何見てんの?)
あんたは仲間にも敵にもなれる(事実だよ)
でもこれが私の完璧な人生のアイデア(その通り)
[Chorus]
Livin' out your wildest dreams *5, yeah, we're just young and dumb
No responsibilities, don't care for anyone
途方もないことを夢見る、私たちはバカな若者
責任は負わないし、誰の目も気にしない
[Verse 2]
Who’s that over there givin’ it the big 'un? (Who?)
Sorry, officer, I don’t want to go to prison (Sorry)
I know that I was taught but I probably didn't listen (Yup)
But taught myself to fire when I needed ammunition *6 (That's right)
あそこで大騒ぎしているのは誰? (誰?)
ゴメン、警官さん、刑務所行きはゴメンだ(ゴメン)
教えられたと思うけど、ちゃんと聞いていなかった(ええ)
けど攻撃すべき時には自分がやるべきって知ってる(そうです)
I taught myself to sing and I taught myself to shout (La-la)
I taught myself how to get by *7 and go without (Easy)
I taught myself to make a proper English breakfast (Hash browns)
'Cause I’m a little teapot, short and stout *8 (I am)
歌うことも叫ぶことも覚えた(ララ)
上手く逃げ切ったり無くても済ますことだって覚えた(簡単)
定番のイギリス流ブレックファーストだって作れる(ハッシュブラウン)
だって私は小さなティーポットみたいで、短くて頑丈(ずんぐりむっくり)
I'm that girl all alone in the crowd (That's me)
'Cause all of you's are followers and do it for the clout *9 (Yeah, yeah)
I can't afford to be what everybody's on
The only way I can afford is if you do a discount (Give me a bargain)
私は人混みの中で一人ぼっちの女の子(それが私)
だってあなたたちはフォロワーで、承認欲求のためにやっているよね(そうそう)
みんなと同じことをする気はない
あなたが割引をしてくれれば私もやるかも(おまけして!)
Next summer, I'll probably be overseas
I speak a lot of French, oui oui oui
Mate, you're just a hater 'cause my future's bright
And this is my idea of the perfect life
来年の夏はたぶん海外にいるかも
フランス語だって上手に話せる、oui(はい)、oui(はい)、oui(はい)
私の未来が明るいからってあなた妬んでるよね
そしてこれが私の完璧な人生のアイデア
[Chorus]
Livin' out your wildest dreams, yeah, we're just young and dumb
No responsibilities, don't care for anyone
Dance like there's no one around, yeah, it's just you and me
We don't care for finer things 'cause love is all we need
途方もないことを夢見る、私たちはバカな若者
責任は負わないし、誰の目も気にしない
周りに誰もいないみたいに踊る、そう、あなたと私の二人だけ
贅沢品なんていらない、必要なのは愛だけ
[Outro]
Yeah
So don't be lookin' at my face weird
I am somebody that they feared
I just wanna play my bass here
そう
だから変な目で私の顔を見るのはやめて
私はみんなが恐れる存在
ただここでベースを弾きたいだけ
トラック・インプレッション
若さの自由さと無鉄砲さをユーモラスかつリアルに描いた曲です。
社会の期待や経済的なプレッシャーの中で「my idea of the perfect life (自分らしい完璧な人生)」を追い求める姿をラップしています。
今作の中ではシニカルでユーモラスだけどちょっと危険なリリックを含みながらもサウンドは明るいパンクポップ・ミーツ・ヒップホップ/R&Bともいうべきコーラスが印象的な曲です。
そんな面白いリリックが現れていると思ったのが↓の2つのライン。
シニカルなユーモアで、今の若者のリアルな日常を描いています。
I'm twenty-something young with my priorities straight
I need to buy a booze and I need to buy a draw「優先順位はわきまえてる、酒とドラッグがまず必要」
I'm that girl all alone in the crowd
'Cause all of you's are followers and do it for the clout
I can't afford to be what everybody's on
The only way I can afford is if you do a discount (Give me a bargain)私は人混みの中で一人ぼっちの女の子
あなたたちはフォロワーで、承認欲求のためにやっているよね
私はみんなと同じことをする余裕なんてない
また、自分自身を「little teapot, short and stout(ちっちゃなティーポット、ずんぐりむっくり)」と表現しながらも、自分で歌い、叫び、戦う術を身につけたとスピットします。
つまりサビで歌われるように間違ってようと無鉄砲で誰にも頼らず自分の力で生き抜くことが誇りなんだ!それが若さの象徴であり素晴らしさだ!とラップしているように思えます。
そんな象徴だった人、エイミー・ワインハウスについて讃える下のリリックも憎いです。
In my fuck-me-up pumps and my Winehouse quiff (We love you, Amy)
ヒールが高く派手色の靴を履き、ワインハウス流のヘアースタイル
収録アルバム
紹介した曲は↓のアルバムに収録されています。
Little Simz (リトル・シムズ)の歌詞和訳
今回の曲以外にも歌詞和訳をしています。良かったら見てください。
Little Simz (リトル・シムズ) カテゴリーの記事一覧 - 歌詞和訳 〜キラクにキママにマジメにホンヤク〜
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*1:a quid イギリス英語のスラングで「1ポンド」を意味する
*2:priorities straight 物事の重要度を考慮に入れる、優先事項を整理する、自分のしたいことをしっかりと見極める <by 英辞郎>
*3:booze 酒、ビール、アルコール飲料 <by 英辞郎>
*4:draw イギリス英語のスラングでマリフアナ、大麻の意味がある <by 英辞郎>
*5:wildest dreams 途方もない夢、見果てぬ夢、泡沫の夢 <by 英辞郎>
*6:ammunition 〔議論や視点などの〕攻撃[擁護]材料[手段] <by 英辞郎>
*7:get by 〔問題・異変などが〕(人)のチェックを逃れる[擦り抜ける] <by 英辞郎>
*8:stout どっしりした、頑丈な、丈夫な <by 英辞郎>
*9:clout 〔人・組織などが持つ〕影響力、権力 <by 英辞郎>