音楽は新譜中心に聴くことが多いのですが、温故知新として名作アルバムからも紹介したいと思います。
今日はPublic Image Ltd.(パブリック・イメージ・リミテッド)の The Flowers of Romance(フラワーズ・オブ・ロマンス)です。
直訳すると「ロマンスの花」です。
"ロマンス"って日本語で適切な言葉がないですが、ワクワクするような情熱的な恋愛って感じなのでしょう。
歌詞を気にしなければ「リズムが面白いけどわけわからない...」という曲です。
はたしてどんな歌詞の曲でしょう。
歌詞と和訳だけ見たい方は下の目次の「歌詞/和訳」クリックしてください。
ザ・トラック・オブ・ザ・デイ
- トラック名: Flowers of Romance(フラワーズ・オブ・ロマンス)
- バンド名: Public Image Ltd.(パブリック・イメージ・リミテッド)
- 収録アルバム: Flowers of Romance(フラワーズ・オブ・ロマンス) *Track 3
- アルバムリリース日:1981年4月10日
パブリック・イメージ・リミテッド(P.I.L)は元セックス・ピストルズのヴォーカルのジョン・ライドンが1978年に結成したロック・バンドです。
パンク以降のポスト・パンクの先駆であり代表バンドというのがロック史の位置付けです。
今作は3作目で、ベーシストのジャー・ウォーブルがレコーディング前に脱退したこともありベーシスト抜きで制作され、UKチャートでは11位を記録しました。
どうして今回 P.I.Lのアルバムを取り上げたかというとGU(ジーユー)でTシャツが売っていたからです。
GUSPECIAL COLLECTION / Public Image Ltd.
GUは今年の春頃からBlur(ブラー), New Order(ニュー・オーダー)と立て続けにロックTを販売しているのでP.I.Lは今年第三弾だと思います。
今回は2015年のグラフィックのグレーカラーと、アルバムの告知で使われたポスターのブルーカラーのグラフィックデザインがプリントされてます。
ちなみにタンクトップもありました。グレーカラーのものはツアースケジュールのバックプリントがなかなかカッコ良いです。
ロックTは若い人の間でもヴィンテージアイテムとして密かな人気があることからの販売のよう。
正規品をライブ会場や通販で買うよりもずっとリーズナブルに買えるのでロックファンとしては嬉しい限りです。
私がP.I.Lのアルバムをほぼリアルタイムで聴いたのは1986年リリースの[ALBUM]のみです。
ギターでスティーヴ・ヴァイが参加したことでハード・ロック、メタルファン層にも話題となり、ジョン・ライドンの奇妙とヴォーカルとスティーヴ・ヴァイのギターがユニークだなぁと感じた程度でしたが、今聴いても完成度以前に超個性なオルタナティヴ・ロックの名盤です。
今回は彼らの初期の歴史的名盤からタイトルトラックを和訳してみます。
なお英詞は"genius.com"から引用し、Spotifyから補足しています。
Public Image Ltd. - The Flowers Of Romance (Top Of The Pops) 1981
歌詞/和訳
Title : The Flowers of Romance
Producer : Nick Launay & Public Image Ltd.
Writer : Keith Levene & John Lydon
Now in the summer
今は夏
I could be happy or in distress*1
私は幸せかもしれないし、嘆いているかもしれない
Depending on the company
一緒にいる人達次第だ
On the veranda
ベランダで
Talk of the future or reminisce*2
将来の話をしたり、思い出を語りあったり
Behind the dialogue
会話の後には
We're in a mess
私達は混乱する
Whatever I intended
私が何を意図していたにせよ
I sent you flowers
私はあなたに花を贈った
You wanted chocolates instead
あなたはチョコレートが欲しかった
The flowers of romance
ロマンスの花
The flowers of romance
ロマンスの花
I've got binoculars
双眼鏡がある
On top of Box Hill
ボックスヒルの頂上で
I could be Nero
私はネロになれる
Fly the eagle
鷲を飛ばせ
Start all over again
最初からやり直す
I can't depend on these so-called friends
いわゆる友人たちには頼れない
It's a pity you need to defend
あなたが守らなければならないのは残念だ
I'll take the furniture
家具を持って行くよ
Start all over again
最初からやり直す
アルバム・インプレッション
シド・ヴィシャスのことを歌ったという人もいますが和訳してみて何を歌っているか分かりません。
なので今日は和訳曲の感想というかアルバム全体の感想になります。
とにかく1曲目からジョン・ライドンの独特の奇妙なヴォーカルからヤバい雰囲気が漂い、トライバルなドラムスが痺れさせてくれます。
ライドンの独特の歌い回しは、メロディを引き出すような歌い方ではないが、呪術的であり機械的でもあると同時に時折天に向かって張り上げるような声と震えるようなヴォーカルが凄まじいけどやはり人間の声です。
上手いヴォーカリストとは言えないがやっぱりロック界随一のオリジナリティ、超個性的なヴォーカリストであることを改めて痛感させられます。
ジョンのヴォーカルと対抗して核となるのがドラムです。
往来のドラム・スターのような印象的なフィルイン等は一切使わず、シンプルなエイトビートは無しで、アフリカ的なトライバルなビートをリピートしながらロック的に叩き出すところが格好いい。
不協和音を奏でるギターも異教徒、カルトという言葉を思い出させ、ドラムとヴォーカルが核になりギター・シンセ・ストリングス等が効果的に使われています。
リリースから40年以上経った今でもこんなの聴いたことがない感じがあり、刺激的で色あせない音楽です。
今聴いても面食らうところがあるので当時はかなりのインパクトだったのでしょう。
発売当時は今までにない音楽を目指した実験的な作品だったんだなぁと感じます。
そしてそしてエフェクト処理された音が呪術的な雰囲気を際立たせ、不穏な曲が展開されていきグイグイ引き込まれていきます。
中東的でもありアジア的でもありアフリカンでもあるのでワールド・ミュージックというのが一番近そうですが、そうではなく明らかにロックでありパンクである。
それも当時の既成概念の全てを拒否したものだったと思います。
歌メロもあまりないので1曲1曲が覚えやすいということは一切なく、曲名と曲がなかなか一致しない位に覚えにくい曲達ですがよく聴くと強烈な特徴があります。
フックがあったりキャッチーとは言えないので曲が覚えられない、それでもそれでも嫌悪感が殆どなく聴き心地が良いとも言えます。
永遠の理解不能な感覚とカオス感をこのアルバムを聴いていく限り持ち続けていくことでしょう。
ある意味BGMとして流して聴いていることで何か発見があるのかも、周囲に家族がいたり車の中で聴くと確実に止めろ!と言われる音楽ですが...
ではまた。