今回は2024年の春期(4月から6月)に放送されたドラマとその主題歌感想の感想を書き綴っていきます。
このブログは邦楽は少なめですが、私はドラマをよく見るので、個人的にドラマも主題歌も好きになったものをピックアップしてそれぞれの感想や考察を絡めて気楽に書いていきたいと思います。
ネタバレはなるべく避けますが読むとわかってしまうところがあるのでこれからドラマを見るという方はご注意ください。
ドラマ・タイトル:アンメット ある脳外科医の日記
ドラマ 感想
医療系ドラマは今クールはこの[アンメット]と医療要素低めの院内の権力闘争系[Re:リベンジ‐欲望の果てに‐]でした。
アンメットはさほど好きな役者さんが出ておらず、マンガの原作も未読でしたが1話目から完全に引き込まれました。
結果的に2024年春クール一番印象に残ったドラマでになりました。
医療ドラマという以前に登場する医師や看護師の織りなす人間模様が描かれています。
抑えの効いたキャストの演技と大仰にならない展開が、「ある脳外科医の日記」の副題の通り、日記のような一種のドキュメンタリーを見ているようでした。
杉咲花さん演じる記憶障害を抱える脳外科医の川内ミヤビと、若葉竜也さん演じるアメリカ帰りの脳外科医 三瓶友治の二人の医者として、人間としての関係性がポイントです。
前日の記憶を今日には忘れてしまうミヤビですが、三瓶先生との信頼関係が回を重ねるごとに深くなっていき、記憶障害があるはずのミヤビがそれを感じているか、心の根っこは何も変わってないどころか日々変化しているのを見ることがこのドラマの良さだなと感じました。
それでも何故、今になって三瓶先生はミヤビのところに来たのかとか、最初と最終回のミヤビとの接し方が明らかに違う点等が見終わった後に謎に感じるところがありました。
ここは、丁寧に作られたドラマなので改めて見ることで気づかなかった発見がありそうです。
同じドラマを二度見るということはほとんどしいのですが、ミヤビと三瓶先生が重ねたきたコミュニケーションをもう一度、初めから見てみたいと思いました。
一話完結の要素もあったので、初めは登場人物間の関係性はサイドストーリー扱いでみてしまったので、これから見られる方は医師達の関係性にフォーカスして見た方がよいかもしれません。
また医療ドラマとしてもちょっとマニアックな用語が出てきたり、手術シーンでの医師達の信頼関係を感じるコミュニケーションと緊迫感が素人にもリアルに感じることが出来ます。
ヒューマンドラマとしてはこの春一番と思っており、重厚さの中に柔らかさと優しさが感じられる素晴らしいドラマでした。
主題歌 感想
あいみょん - 会いに行くのに [OFFICIAL MUSIC VIDEO]
主題歌はあいみょん の[会いに行くのに]です。
この曲もあいみょんらしい日本人の心の琴線に触れるメロディ・ラインと歌詞が秀逸です。
日本人が多く持つウェットな感情を現代的にポップに詩的に歌詞にするのが上手い人で、この曲もそんな1曲になってます。
あいみょんはこの曲について下のように語ってます。
枕を見た時に浮かび上がる記憶。
呑み過ぎた日の次の日にグルグル回る嫌な記憶。
バレンタインが来るたびに蘇る記憶。さまざまな記憶が私の中で生きていて
その記憶が私の財産になり
曲になります。“記憶”が鍵になっているドラマの中で
どんな風に聴こえてくるのか、
とても楽しみです!
必ずしもドラマのストーリーを基にはしてないようですが、ドラマを意識して"記憶"をテーマにした曲であることがわかります。
それでは少し歌詞を追っていきたいと思います。
この歌い出しのこの表現はあいみょんらしく今っぽくて詩的で素敵です。
冷蔵庫の中には
食べ損ねたラブレター
ひとつずつ ひとつずつ 白くなる
ここはドラマを最後まで見た人が改めて聴くと最終回のシーンを思い出してグッとくるのではないでしょうか。
記憶に片隅から思い出した渡せなかったラブレターが、少しずつ記憶も薄れてくるように書いたことも思い出せなくなり白くなっていくことが分かります。
次のヴァースの「渡しそびれたリング~」ももそんな後悔を感じさせる箇所です。
そしてコーラス前に感情をゆすぶられるあいみょんらしいプリコーラスです。
これが夢だったら
何度も繰り返して君を
何度も分かったふりをして
傷つけない方法を見つけたい
ここでは「これが夢だったら」と前置きして、"君"の話しを何度も聞いて傷つけないようにしたかったという"君"とのコミュニケーション面での後悔が歌われているように思えます。
ちなみに二番のプリコーラスは「これは夢でした」から始まります。
これは夢でした
頭抱えすぎた僕だから
何度も踏み込んで 転んで
傷つき 日を跨ぎ 朝になる
実際のその時の自分は"君"に対して上手くコミュニケーションすることが出来ず失敗して傷ついたんだろうな、そんな気持ちを抱えてふと朝になり思い出す様子が感じられます。
ここからサビです。
あと何回同じ冬を通り過ぎて
錆びたままの部屋で
君を待つのは寒すぎる
心ももたないよ
初めてのあの日に戻ったなら
明かりの無い街も
愛して 愛を知って
会いに行くのに
ここでは"君"の記憶を引きずりながら今を過ごす寂しさと、あの日に戻れたら今すぐでも会いに行きたいという気持ちが歌われます。
この曲には「錆びたままの部屋で」「寒い」という言葉が繰り返し出てきます。
この部分は主人公にとっての相手が、今は過去の人なのかもしれないけど忘れることが出来ない大事な人だということが分かります。
ただ「愛して 愛を知って」のフレーズでは、今の自分は後悔を繰り返していくうちにどうすれば良かったのかや、他の人との関わりや恋愛を通して"愛"というものを自分なりに理解できてきた様子が歌詞に読み取れます。
最後の「会いに行くのに」のフレーズでは、そんな成長できている自分にちょっとした自信ができたのかな、今、会うことができれば今度はやり直せるのではないかなと思わせる歌詞です。
二番の歌詞に入ります。
この部分はドラマを意識したフレーズですね。
0時過ぎた頃には
望みなく眠るんだ
数えてる ひとつずつ 記憶を断つ
このドラマで何度か見られるミヤビが夜寝る前に日記を書き、朝起きて記憶を覚えるために日記を見るという印象的なシーンを思い出させます。
歌詞を自分なりに総括すると、自分が好きな人(好きだった人)が記憶に呼び起こされ、あの時こうしたら良かったのに、今、会えたらこうしてたのに、という相手への思いを感じます。
ネットではドラマの三瓶先生の目線なのではという記載をみましたがそういう訳ではないと思いした。
そしてこの曲がエンディングで流れることがシリアスタッチのドラマを希望的にさせる効果があったと思います。
ここで歌われる相手の"君"は心の片隅で残っている人のことを歌っているように感じます。
誰もが一人は思い出の人がいるように、時がたっても記憶の中にいる過去に大事に思っていた"あの人"のことを思い出せてくれる曲です。
今会いに行くことは実現できないことではあるけれど、主人公にとっての過去の経験と記憶が今に成長に確実につながっている、そんな切ないければ明るさや救いが感じられる歌になってます。
それでもそんな簡単に書いて終わりとは当然ならず、何度もメロディを感じながら歌詞を追いたくなる味わい深い曲です。
センチメンタルだけど、特にドラマを見た人には"記憶"という言葉がしっかりリンクする今年のあいみょんの代表的な歌になるだろう曲です。
ちなみにオープニング曲である上野大樹さんの「縫い目」という曲もなかなか良い曲です。こちらは切ないバラードタイプの曲です。
ではまた。